埼玉県鶴ケ島市議会(定数18)は4日、SNSなどで「外国人差別反対」などと発信している福島恵美市議(44)=無所属=に対し、市議の肩書を使った発信の「自粛」を求める決議を賛成多数で可決した。決議に法的拘束力はないが、議員の言論を制約しかねない内容だ。
決議は、発信によって市などへの問い合わせが増え、「通常業務に支障をきたしている」としたが、福島市議は「不当な決議」と批判している。
市や議会事務局などによると、福島市議の言動に対する意見が5月~7月末、ホームページや公式SNS、電話などで約150件寄せられた。大半が、言動を問題視する内容という。7月22日夜には福島市議の殺害と市庁舎の爆破の予告も届き、県警が捜査。市議会は、8月に予定していた子ども向けのイベント「鶴っ子議会」を中止した。
決議は「発言を制限する考えはないが、市民の安全と行政・議会の業務に重大な影響が生じている」とし、福島市議に市議の肩書を使った意見表明の自粛を求めた。
市議会の内野嘉広議長は取材に対し「殺害や爆破予告は許されない。政治活動を制限するものでないことは大前提。ただ、6月以来、議長として口頭で福島市議に自粛を求めたが応じていただけず、議会として意思表示を出すことになった」と説明した。
福島市議は「外国人ヘイトは許さない」などとX(旧ツイッター)で発信していた。取材に対し「ここで私が黙れば、加害する人を利することになる。これは私一人の問題ではない」とし、自粛要請に応じる意思はないと話した。